アマゾン・ドット・コムの光と影

amazonの最初の印象としては、1500円以上送料無料で大丈夫なのかということと、
幕張に配送センターがあるとはいえ、本当にすぐに届けられるなということであった。
Web2.0を代表する企業とされているので、きっと配送センターも高度にシステム化
されているかと思いきや考えていたこととの落差にかなり驚かされた。本書はそんな
amazonで短期間バイトとして働き、その立ち位置から見えたことが事細かに記されて
いる潜入記である。


まず、ヒエラルキーとしてはamazonの正社員、日通の正社員、契約社員、アルバイトと
明確に区別されている。アルバイトが最初に行う仕事はピッキングと呼ばれる商品を
1分間に3つ取ってくること。ジャンル分けされているわけではないので、番号を見て
探して歩く。誰にでもできるけれど、効率良くやらないとなかなか大変だという。


当初感じた違和感というか疑問として、なぜこのあたりをシステム化しないのかと
思ったのだが、読み進めていくうちに膨大な商品を取り扱う以上、完全なシステム化は
ほぼ無理なので、ある程度の段階まで振り分けたら後はアルバイトの人間にピック
アップしてもらうのが最も効率がよいという判断を下したのだと感じた。
実際、時給750円で働き手はたくさんいるわけで、彼らの労働力によって商品が
ほぼ無料で届けられるのであろう。日本の配送センターの実情は概ねわかったが、
アメリカや他国においても同じような形態を取っているのか少し気になった。


潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影―躍進するIT企業・階層化する労働現場潜入ルポ アマゾン・ドット・コムの光と影―躍進するIT企業・階層化する労働現場
横田 増生

情報センター出版局 2005-04
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