フリー 無料からお金を生みだす新戦略
今更ながら読んだ。面白いそうなのはわかっていたけど、本当にフリーについて様々なケースが
まとめられていて参考になった。
雑誌については、無料にするよりは少しでも料金を請求するほうが有効だとわかった。だが、他のほとんどの場合では、1ペニー(1セント)というとるに足りない値段がつくだけで、圧倒的多数の消費者の手を止めてしまうのだ。1セントははした金なのに、なせそんなに強い影響力を持つのだろうか。その答えは、値段がつくことで私たちは選択を迫られるからだ。それだけで行動をやめさせる力を持つ。
言われてみると確かに105円という価格であってもそれを選択するからにはある程度、買うのか
買わないのかをどこかの時点で明確に決定している気がする。
中国では不正コピーが音楽消費の95パーセントを占めると推定されている。そのためレコード会社は、自分たちのビジネスを根本から考え直すことを強いられてきた。
こうもはっきり書いてあると改めて凄い割合だと思う。日本で音楽が売れない理由が業界からは
これが原因としているけどそれはありえない。ロングテールの本にはヒット作と作り出された
ヒット作など売れ筋の変遷なんかが書かれていて興味深かった。並行して読んでいるところ。
アトム経済とビット経済の違いを直感的に理解して、アトム経済ではお金は払うべき本物のコストがかかるが、ビット経済はコストがかからないことをわかっている。その観点から言えば、万引きは窃盗だが、ファイル交換は被害者のいない犯罪なのだ。
このことはインターネットが普及し始めて感じたことをうまく表現してくれている。
フリーと戦うのは簡単なのだ。単純に無料のものよりよいもの、少なくとも無料版とは違うものを提供すればいい。会社員がオフィスの給湯室にある無料のコーヒーの横を素通りし外に出て、スターバックスで4ドルのヴェンティ・ラテを買うのには理由がある。スターバックスのコーヒーのほうがおいしいからだ。そこにはある種の消費者心理も働いている。小さな楽しみであり、ちょっとしたぜいたくで自分を甘やかしたいのだ。無料のコーヒーを手に入れるのは簡単だが、スターバックスはそれ以上のものを提供してくれる。
「タダには太刀打ちできっこない」という意見に対する回答が上記である。フリーがいくら強いと
いってもそれ以上の満足感を感じられたらそちらになびく人は少なからずいる。100円でおかわりが
できるとか、ゆったりとしているとか、リザーブが楽しめるお店があるのが嬉しい。
それにしてもよくフリーばかりまとめたものだと感心したくなる一冊。著者なのか訳がよいのか
わからないけど文章も読みやすかった。
フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略 クリス・アンダーソン 小林弘人 日本放送出版協会 2009-11-21 売り上げランキング : 1848 Amazonで詳しく見る by G-Tools |