アフリカ 苦悩する大陸
エコノミストの元アフリカ担当編集長がアフリカ各地を取材する。ありきたりな取材ではなく、
危険を顧みない潜入取材であるのでリアリティがあって引き込まれる。アフリカ本を最近まとめて
何冊か読んでいるが、この本と白戸氏の「ルポ資源大国アフリカ」が良い。
第1章ではジンバブエということでモーガン・ツァンギライにインタビューしている。今でこそ
ムガベもシンガポールに定期的に健康診断に行くくらい体力に衰えが出てきているが、本書が
書かれたのは2004年なので相当な攻撃を受けていたと思われる。
オフィスの外に巡らされた防犯用の鋼鉄の格子を通してもらうまで、相当時間がかかった。二ヶ月ほど前、
数人の男たち(ツァンギライが言うにはCIOの者たち)がオフィスに押し入り、十階の窓からツァンギライを投
げ落とそうとしたのだという。
このようなことが日常茶飯事だったのだろう。
これは少し大げさだろうが、アフリカを歩いてみると、信頼関係が成り立たないせいでよけいな苦労を強い
られることはざらにある。ナイジェリアでは、五つ星の高級ホテルでも現金払いだ。しかも部屋代だけでな
く、予想される食事代から電話代まで、支配人の一存で前払いさせられる。首都アブジャのヒルトンホテル
では、ドル紙幣で支払いを済まそうとしてひどく待たされたことがある。出納係は一枚一枚機械でスキャン
して偽造紙幣でないことを確認し、その上で、従業員による盗難を防ぐため、三枚複写式の帳簿に順に紙幣
の製造番号を書き写していくのだからたまらない。
偽造紙幣のチェックだけならまだしも紙幣の番号まで控えるとは。
ナイジェリアの人々は異常に分厚い札束を持ち歩くので、盗難に遭いやすいし、あまり衛生的でもない(ラゴ
ス大学の研究によれば、同国の紙幣の86パーセントは下痢を引き起こすような細菌に汚染されているという)
まさかと思ったが、同じようなことを書いているものがあった。相当紙幣は汚そうだ。
http://www.deguchi.co.jp/yuyu/saudi/bottom.asp?id=396
政治だけの問題ではないと思うが、やはりどうにもならないような国家は為政者が腐敗しきって
いるからであり、根本的にその部分を入れ替えない限りは本格的な成長は難しいのではないかと
改めて思わされた。
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