無料ビジネスの時代

「スタバではグランデを買え!」の著者が書いた今流行りの無料ビジネスについての本。
無料ビジネスと言っても色々なパターンがあるわけで、一見無料だと思えないようなものでも
蓋を開けてみると無料ビジネスであったりする。章立てとしては以下のような感じで7種類の
ケースが紹介されていた。

第1章 無料ビジネスとは? 〜2タイプのコーヒー無料から考える
第2章 共同購入型クーポンvs.無料ビジネス 〜生き残るのは
第3章 TDLUSJのアトラクション無料 〜入場料金値上げとの関係
第4章 予約制約 vs. 時間制約 〜消費者のどこをまず狙うか
第5章 ケータイと無料ビジネス 〜本質は個人向けファイナンス
第6章 消費不況と無料 〜無料ビジネスが日本ビジネスを救う?
第7章 電子書籍と無料ビジネス 〜期待はずれに終わりやすい理由

クーポンとかコーヒー無料とかはわかりやすいけれど、ディズニーランドのパスポート値上げ
なんかはよく計算されたものなのだとわかった。確かに遠くから来る人は交通費やら宿泊費などが
占める割合が大きいのでパスポート料金が多少上がったところであまり気にならないレベルである。


もちろん満足度を高めるために、遠くから来た人にアトラクションの待ち時間を減らす施策も
合わせて取っているところもさすがである。年間パスポートを持っているような人たちは
既に何度もアトラクションには乗っていて、最早パレードやイベントにしか興味がいかないように
なっているのも運営会社の狙い通りなのだろうけど。

じつは、TDLUSJの入場料金の値上げも、表面上は誰に対しても同じ値上げをしているようにみえて、価格差別に似た、しかし肝心の効果の方向がちょっと異なる要素をもちます。ポイントは、集客力が高いTDLUSJには、日本全国から、そして海外(中国など)からもたくさんの来客があること。もちろん、TDLは東京圏、USJは大阪圏という大都市圏にあり、近隣からの来客も多い。

ファストパスをグループ割引というのはちょっと違和感があった。あまり並んでまで取るという
イメージがないからかもしれない。最後に無料ビジネスの失敗例として電子書籍が挙げられている。

電子書籍の無料ビジネスが日本では意外にうまくいかない最大の理由は、じつに簡単なことです。日本の出版ビジネスは、すでに大規模な無料ビジネスをおこなっている。全国にある書店そのものが、まさに無料ビジネスだからです。

立ち読みは確かに言われてみるとそうである。ジュンク堂なんかは本当にゆったりと
くつろぎながら、本を探すことができる。1日中いる人もいるのではないか。これをさらに
推し進めると図書館ということである。新刊はもとより雑誌までバックナンバー含めて
全て読めるのは昔と違って凄い。


それほど目新しいものはなかったけどいつもながら興味深い内容であった。「金融広告を読め」
を最初に読んだときはかなりインパクトがあったのだけど。


無料ビジネスの時代: 消費不況に立ち向かう価格戦略 (ちくま新書)無料ビジネスの時代: 消費不況に立ち向かう価格戦略 (ちくま新書)
吉本 佳生

筑摩書房 2011-09-05
売り上げランキング : 87076

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか (光文社新書)
吉本 佳生

光文社 2005-05-17
売り上げランキング : 27600

Amazonで詳しく見る
by G-Tools