旅館再生-老舗復活にかける人々の物語
以前、ホテル戦争を読んでかなり参考になったので著者名を見てすぐに購入した。
この本は第2弾という位置づけらしい。ホテルが専門なこともあって旅館について書いた
こちらの本には2年ほど月日を費やしたとのこと。
あのアマン・リゾーツが京都に進出するようでそのことにも触れられていた。
現時点では工事などが始まっていないようなので早くても2010年開業ということになりそうだ。
場所は鷹峯ということで鹿苑寺(金閣)から1kmということなので緑が多い中に建設されるのだろう。
どんなものが完成するのか今から楽しみである。
既存の温泉旅館の問題点についても簡潔にまとめられていた。
基本的には「連泊」出来ないシステムになっていた。せっかく寛いで、連泊しようと思っても、
旅館側は2泊、3泊目に提供する自由なサービス選択を持っていない。
15時チェックインは普通だとして、18時までに行かないと食事に支障が出てしまうというのは
面倒であるし、連泊しても同じ食事が出てくるのは多少改善されているにしても3泊目だと
さすがに対応しきれない旅館が多そうである。
その代わり、どうやって余剰の利益を稼いだかといえば、繁忙期の極端な料金引き上げと客室の
グループ使用だ。本来なら、1室2名又は1名でゆっくりと滞在すべき客間をグループ利用させ、
一室当たりの平均単価(ADR)を大幅に上げる。
繁忙期に関しては飛行機と同じ。グループ使用に関しては確かに4人とか5人とかに押し込む
割にはそれほど安くならないからなあ。ホテルだと1人幾らじゃなくて1室当たりの料金に
なるのでお得感がある。
後半はこれから生き残っていく為のモデルになる旅館が出てくる。星野リゾートも出てきて
ガイアの夜明けのような展開。星野社長が見据える4つの視点にヒントが隠れている。
- 日本の働き盛りの人々は、滞在型を望んでいる。
- 団塊世代が今後、次々と引退していくが、60代、70代は活動を求めるアクティブシニアと呼ばれる行動派だ。
- 海外からの観光客への対応。
- 日本の地域文化の「正統進化」。
かなりのホテルや旅館が登場するので、読んでいる途中や読み終わってからネットで調べれば
再度楽しめると思う。
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