住まい方の実践

 思想、演出と続いてきたこのシリーズ。第三弾は実践ということである。
実践というよりも著者の自宅について色々と公開しているのでこれが
なかなか面白い。親の敷地に建てていることから地上1F、地下2Fという
構成になっているそうで、当初建築した際には未完成の部分を多く残したそうだ。
その後、子供が大きくなったりお金に余裕ができてから、収納や子供部屋を逐次
追加していったとのこと。なかなか普通の人にはできないことであるが、こうした
家の進化のさせ方が理想なんだろうと感じた。

住宅にとって狭義の機能、つまり台所が使いやすいとか生活動線が整理されているとかいうことが大切なのはもちろんだが、一番大切なのは「なんとなく居心地がいい」ということだと思う。

この内容も疲れて家に帰り、寝るだけの生活を送っているとわからない要素だということ。
くつろげる場所が幾つもあると生活にゆとりが出るのかもしれない。

住まい方の実践―ある建築家の仕事と暮らし住まい方の実践―ある建築家の仕事と暮らし
渡辺 武信

中央公論社 1997-02
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