地下鉄は誰のものか

九段下駅のホームの壁や浅草駅のシャッターが開かない件など様々な問題が存在することはメルマガ
などで断片的に知っていた。新書という形で出版されたので読むのを楽しみにしていた。

第1章 九段下駅ホームの壁
第2章 株主総会へ乗り込む
第3章 バリアフリーより不動産ビジネス
第4章 新橋駅「幻のホーム」
第5章 私鉄経営と地下鉄経営の違い
第6章 欲望による一元化の挫折
第7章 利用者のための公共性
終章 勝鬨橋の向こうへ

章立ては以下のような感じである。特に第3章までは都内の地下鉄を利用している人であれば是非とも
読んでおくべき内容であると思う。

東西線・浦安から大江戸線有楽町線が乗り入れる月島駅までのケースでは、メトロのみを利用した場合、運賃は230円である。大手町で千代田線に乗り換え、日比谷駅から有楽町線に乗り換え(有楽町線は有楽町駅)、月島まで所要時間は38分である。だがメトロと都営を乗り継げば、門前仲町駅大江戸線に乗り換えるだけ、所要時間16分である。運賃共通化を実施すれば、通産運賃は290円から190円となる。

どちらか一方だけでいけば安くなるのは間違いないが、余計な時間がかかるのは避けたいものである。
私も都営のみだった状態からメトロ1駅が追加されただけで、定期券の金額が1.5倍くらいに上がって
驚いた。乗り継ぎでは70円割引にはなっているものの、安いとはとてもじゃないがいえない。

東京メトロには12の子会社がある。鉄道業務に密接に関係する鉄道アウトソーシング系子会社と、そうではない収益系子会社にわけられる。

何かどこかで見たような構図である。もちろん必要なメンテナンス系の会社も含まれているが、
他にもゴルフ練習場やワンルームマンションの経営なども含めて多角的に経営している模様。

だが営団地下鉄が2004年に民営化されたとはいえ、かたちばかりの株式会社にすぎない。株式の構成は国が53.4%、東京都が46.6%なのである。じつは東京都は大株主だったのだ。そんなあたりまえのことも利用者には案外知られていないのではないか。

作家としてこのような問題点を詳らかにしていくだけではなく、株主総会*1に副知事として参加して改善を求めていくことができる。
こうした取り組みが面白くないはずがない。


ちなみに今年の株主総会では以下の要望を挙げていた。

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猪瀬 直樹

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http://mainichi.jp/area/tokyo/news/20110630ddlk13020315000c.html

*1:財務省理財局と東京都からそれぞれ1名ずつしか参加できない