中国経済の正体
長らく日本のGDPは世界2位であるというのが当たり前であったが、早ければ今年にも中国に
抜かされてしまう時代になってきたようだ。さらには2024年にはアメリカをも凌ぐ可能性も
出てきている。そんな中国経済を様々な観点からとらえている。新書なので200ページほどの
ボリュームではあるもののいろいろなネタが散りばめられていて興味深く読むことができた。
「人口ボーナス」というのは、総人口に占める15〜64歳人口の割合が上昇することを通じて、人口が経済成長・発展にプラスに作用する効果を指す。一方、「人口オーナス」というのは、高齢社会の到来によって、生産年齢人口比率が急激に低下する一方、65歳以上の高齢人口比率が急上昇する状態を示し、人口が経済成長・発展にとって重荷になってくることを意味する言葉だ。
日本はあきらかに後者であることがわかるが、意外にも中国も2015年をピークに早くも人口オーナスの
効果が出てくるというのである。
ところで、中国経済にとって重要なのは、「人口ボーナス」が消え去った時に、果たして国民一人あたりの所得水準がどれぐらいになっているのかという点だ。国民一人一人が豊かになる前に、あるいは十分な社会保障システムが整備される前に、国全体が老いていくと、中国経済は重大な危機に直面することになってしまうだろう。
その他、気になったキーワードとしては次の通り。特に3個目は意図的な乖離が見られるとして、
単純にパーセンテージを上げようとしている動きだけでもないというところがしたたかである。
- 上海ディズニーランドの経済効果
- 増加する「一人っ子」世代の離婚件数
- GDPと電力消費量の動きが一致しない
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