なぜ安くしても売れないのか

サブタイトルの一人二極化消費の真実というテーマで、ミドルクラスの消費者がワンランク上の
プレミアム価格の商品を購入すると同時にワンランク下の低価格商品を買うという動きが顕著である。
そのため、中間価格帯の商品には目を向けてくれなくなってきている。本書では前作よりは
日本人でも馴染みのあるブランドが出てきている。前作はあまり日本人にはイメージが湧きにくい
商品ばかりだったので少し嬉しい。


ホテル産業も低価格と高価格の二極化を目指す動きをしている。

経営幹部の出張や裕福な人々の休暇旅行のおかげで、最高価格帯は依然、ゆっくりとだが着実に成長していた。リッツ・カールトン、フォーシーズンズ、ペニンシュラなどのラグジュアリー・ホテルがアメリカの総客室数に占める割合は、1994年には5%強だったが、2001年には6%近くに達していた。シェラトン、ハイアット、ヒルトン、マリオットといった中間価格帯のシェアは、1994年には62%を超えていたものの、その後は低下する一方で、2001年には約51%に落ち込んでいた。一方、フェアフィールド、トラベリッジ、スーパー8といったワンランク下の宿泊施設は業績を伸ばしていた。


そんな中で両極で成功を収めているのがマリオットである。マリオットといってもセグメント別に
分けられているのでたくさんあるけれど、高価格帯はリッツ・カールトンとJ・W・マリオットと
ブルガリ・ホテルズ・アンド・リゾーツ、中間価格帯はマリオットとルネッサンス、低価格帯では、
出張客向けのコートヤード・バイ・マリオットやレジャー客向けで低料金のフェアフィールド・イン、
スプリングヒルである。


日本でのマリオット・グループはリッツ・カールトンを傘下に入れた現在でも、ルネッサンスホテルや
マリオットが名古屋や錦糸町にあるだけなのであまり知名度は高くないような感じがする。ルネッサンス
東京ホテル銀座東武がこの本で知ったコートヤード・バイ・マリオット東京銀座ホテルに変わっていたとは。
どちらの名称も微妙だ。ちなみに錦糸町の方はマリオットグループとの提携を解消したようだが、こちらは
引き続き提携している模様。マリオットホテルは中間価格帯だからあまり力を入れたくないのかもしれない。


なぜ安くしても売れないのか―一人二極化消費の真実なぜ安くしても売れないのか―一人二極化消費の真実
マイケル・J・シルバースタイン ジョン・ブットマン

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