「わからない」という方法

 編み物の本を読んで、編み物をしたことがあるわけではないのでなんとも
言えないけれど、編み物ができる人にとっては当たり前のことでも何もわからない
人に対してわかる本を書くのは大変なことだと思う。
わかりやすい本と言っても編み物に対しての最低限の常識があることを前提にしている
わけで、女性であればわかることも、編み物についてこれっぽっちも興味を持たずに
生きてきた人にとってはどこまでも知らないのが現実である。どこで毛糸を買えば
いいのかや何が必要かなども全然わからない人もいる。著者は編み物ができるのだけど、
どこまでわからないかという点に焦点をあて、わからない人がどのレベルまで
わからないのかということを徹底的に突き詰めた上で書いている。
わからないと恥ずかしいということに捉われてしまうことが多いのも事実であるが、
わからないものは「わからない」と言ってそこからわかろうとしたほうが気持ちが
いいし、自分のためにもなるということを事細かな説明から教えてくれる。
桃尻語訳枕草子の執筆の苦労も書かれていて、大変さが伝わってきた。

「わからない」という方法「わからない」という方法
橋本 治

集英社 2001-04
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