「健康」という病

 最近、老いも若きも男も女も健康ということに憧れに似た気持ちを持っている
のではないだろうか。本書では、神経内科が専門の著者があえて医者が触れたくない
部分にもアプローチしている。テレビ番組でも健康をテーマにした内容が多く、
視聴率も高いのはご存知の通りである。その番組内で紹介されたものが次の日に
スーパーで品切れになってしまう光景を見るのも珍しいことではない。
ココアしかり赤ワインしかり、最近では黒豆納豆なんかも。それだけを食べたり
飲んだりするだけで健康になれると思いたいのは仕方ないが、そううまくいくもの
ではない。本書では、ダイエット・スポーツ・薬・人間ドックにスポットをあてて
それぞれ本当に健康に寄与しているのか、単にマスコミ、スポンサーに踊らされて
いるのかなどを分析している。

新薬開発に常に関係していた、ある有名な院長が言った言葉が印象的である。
「副作用がなく、効果もないから、薬は安心して使えるんです」

要は効果がない薬が過去に多く認可されてきたということ。
最近は薬に対する考え方も変わってきているので大丈夫だと思うが、
今までいかに無駄に医療費が使われてきたのかと思うと腹が立つ。




「健康」という病「健康」という病
米山 公啓

集英社 2000-06
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