貧困のない世界を創る

マイクロクレジットの人の本だなと気軽に読み始めたのだが、これが思いのほか内容についての
具体的な構想が情熱豊かに語られており、真剣に読み進めてしまった。著者は2006年にノーベル
平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏。

失業者や資金力がない起業家、または貧困状態で銀行からの融資を受けられない人々を対象とする小額融資のこと。基本的に無担保で融資している。1970年頃からバングラデシュでスタートしている。グラミン銀行が有名である。

マイクロクレジットとは、小額融資、定期返済に加えて5人組制度で成り立っている。その小額の
融資さえ受けられないために長く貧困にあえいでいる人が多くいる。

いくつかの国では、政府機関が貧困、病気、その他の社会悪に対する闘いにおいて前進した。バングラディシュの人口過密の問題もそのひとつだ。バングラディシュは1億4500万人もの人がウィスコンシン州とほぼ同じ広さの土地に住む、世界で最も人口密度が高い国の一つである。

そんな理由の一つが人口密度が高いという点だろう。人口密度だけでいうとマカオシンガポール
香港、バーレーン、マルタ、モルディブなどの方が上位ではあるけど、ほとんど都市国家だからなあ。
モルディブも首都マーレに集中しているだけだと思うし。

私はついに、かろうじて生計をたてていく努力をささえるための最小額を知るために、貧しい人の救いのなさと向かい合うことになった。この問題の本質を私に教えてくれたのは、ソフィア・ベガムという名の村の女性だった。ソフィアと話しているうちに、私にはその理由がわかった。他の多くの村人たちと同じく、ソフィアは椅子を作る材料の竹を買うために現金が必要で、それを地元の金貸しに頼っていたのだ。しかし、金貸しは彼女が作る製品の価格を自分で決め、その価格で売ることに彼女が同意したときだけ金を都合していた。この不公平な取り決めと高い利息のために、彼女には1日にわずか2セントの儲けしか残らなかった。

貸し手としては一旦この仕組みを作ってしまえば寝ていても儲かる。借り手を同じ条件で縛り付けて
おきたいのだろうけど、借りている方からするとたまったものではない。

数ヵ月以上におよぶあらゆる努力が失敗に終わった後、私は新しい方針でやってみることにした。貧しい人々に対するローンの保証人になることを申し出たのだ。実際には、銀行が私に金を貸し、その金を今度は私が貧しい村人に貸し与える、というものだった。銀行はこのプランに同意した。そして、村人たちにその金を貸し始めると、私はその結果に茫然とした。貧しい人々は毎回、きちんと決まった日時に彼らのローンを返済したのだ!

銀行は担保や信用がないと貸してくれないので始めたとのこと。結果的にはグラミン銀行を始め
として様々なグループ企業を立ち上げていっているのは凄い。この本が出た当時にはダノンとの
合弁事業であるグラミン・ダノンの立ち上げの話も出ていて色々と興味深かった。


貧困のない世界を創る貧困のない世界を創る
ムハマド・ユヌス 猪熊弘子

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