海賊の掟

近頃だとマラッカ海峡だとかアフリカとかで話題になっている海賊の本。現代の海賊に始まり
世界の海賊から日本の海賊まで一通り網羅されている。非常に真面目な内容だが、話題が海賊な
だけに興味深いことが多く、楽しんで読めた。

16世紀から17世紀にかけて、マラッカ海峡に出現する海賊は、一種のレジスタンスだった。ポルトガル、オランダに住む土地を奪われ、スマトラ島側のアチェ地方などに移り住んだマレー人は、ポルトガル、オランダの艦船が航海に出て植民地都市の警備が手薄になると、船団を組んで集落を襲い、財宝を略奪していたのである。

マラッカ海峡に海賊が多い理由としては、上記の歴史を持つ末裔がそのまま海賊をやっているようである。
それとインドネシアからすると対岸のマレーシアやシンガポールの繁栄を羨んでこうした行為を生業に
しているとのこと。


歴史に目を向けて、日本の海賊の元祖は誰かというと藤原純友である。中学生の時分に「藤原純友の乱
というキーワードしか習わなかったが、海賊だったいう説明もしてくれたので不思議と今でも
平将門の乱」とセットで覚えている。

藤原純友は、海賊の首領となってから5年間、瀬戸内海の海上世界に君臨したことになる。それは、瀬戸内海の海の民が純友の下に集まり、純友海賊軍を支えていたからに他ならない。しかし、朝廷の懐柔の甘い声は、海の民の心を揺さぶり、海上王国を崩壊に至らしめた。

純友の本拠地は、四国と九州の間にある日振島という島だったようだ。他にも魅力ある人物が出てくるので、
歴史を追いながら瀬戸内海や九州の島を旅するのも楽しそうである。

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山田 吉彦

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