生命保険のカラクリ

本書はこれまでによくあるような単なる保険の選び方という類の本ではなく、保険業界の現状とその構造について
一般人の観点から書かれている。立場的には既にプロなのかもしれないが、どっぷりと業界に浸かっていた人
ではない視点が新鮮である。

毎年19兆円を払い戻すために、運用費用と利益として毎年6兆円が費消されていること。これは、
いわば100万円を支払ってもらうために、約30万円の手数料が徴収されているに等しい。

これらの高い手数料はもちろんユーザに跳ね返ってきている。日米英の保険料比較では、10年定期保険の円換算
したものが紹介されているが、これを見ると日本がいかに高いかということがわかる。30歳では、日本平均6262円、
アメリカ平均3130円、イギリス平均1924円。最近になってようやく優良体だと安くするような保険会社も出てきて
いるけど新規参入のところがほとんどであろう。


最後に「保険にかしこく入るための七か条」がまとめられていた。どんな事態を想定してそのときに幾ら必要で
あるかがわかっていれば、自ずと必要最小限の加入になるはずだけどそれが難しい。

一、死亡・医療・貯金の三つに分けて考えよう
二、加入は必要最小限、を心がけよう
三、まずは中核の死亡保障を、安い定期保険で確保する
四、医療保障はコスト・リターンを冷静に把握して、好みに合ったものを選ぶ
五、貯蓄は金利が上がるまで、生保で長期の資金を塩漬けにしてしまうのは避けよう
六、すでに入っていても「解約したら損」とは限らない。見直そう
七、必ず複数の商品(営業マンではない)を比較して選ぼう

生命保険のカラクリ (文春新書)生命保険のカラクリ (文春新書)

文藝春秋 2009-10-17
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