邪魅の雫

文庫本で1300ページ。かなり分厚い。京極堂シリーズは家でしか読まないのでまあ幾ら分厚くなったところで
よいのだが。今回は榎津の話かと思わせて、あまり登場してこない。百鬼徒然袋などの薔薇十字探偵社を期待して
読む人は期待外れかもしれない。これはメインストリームなのでサイドストーリーのそれを期待しても仕方あるまい。


登場人物はそれほど多くないものの入れ替わっていたりするので、きちんと追っていないと何が何やら段々と
わからなくなってくる。今回はペダントリーが少なかったように思われるのが少々残念なところ。
これだけボリュームがあるのだから中盤の300ページくらいを割いて欲しかった。

「(前半省略)
そうしたら、今度は益田君まで現れた。猫は腹を毀すし、おまけに今日中に後三冊も本を読まなければいけない」
本はいつも読んでいる。

京極が文句をまくし立てると関口がぽつりとつぶやくいつもの光景。

決して関口の助言を期待した訳ではない。全く期待していないのかと云えば、それはそれで嘘になるのだけれど、所詮関口にしてみれば他人事なのであるし、そもそもこの小説家に過剰な期待をかけることがどれだけ虚しい行為であるかと云うことを、益田は熟知している。

例によって酷い表現がいちいち面白い。

文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫)文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫)

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