戦略「脳」を鍛える

WBSのコメンテーターでもある御立氏の本。テレビでの語り口そのままに本書でも非常に簡潔で
わかりやすい内容になっている。戦略論を知っているというのと戦略に勝てるというのには
大きなギャップがあり、それを埋めてくれるのがインサイトであると定義している。

ユニークな戦略=定石+インサイト(スピード+レンズ)
インサイト」とは、「勝てる戦略の構築に必要な”頭の使い方”、ならびにその結果として
得られる”ユニークな視座”」のことである。

進化論ではホンダの考え方が有名だ。国民一人当たりのGDPが一定レベルに達すると必ず二輪車
売り上げが急増することが今までの経験からわかっている。したがってある国のGDPがその水準に
達する手前で参入し、ホンダのブランドをつくり上げる。

投資など他の事にも応用が効きそうである。この例はパターン化されたほんの一例であると思うが、
実際にはかなり詳細なレベルまで落とし込んで、戦略が練られているのだろう。

さらに一人当たりGDPが一万ドルになると四輪車の売上げが伸びることもわかっている。この地域では
今はバイクで儲けているが、あと二、三年後には四輪車がはやり出す。そろそろ二輪のブランドを
活用して、四輪車マーケットで勝ち組になる準備を始めよう、という考え方である。

バイクも車も売っているホンダならではの戦略ということか。

上記のような具体的な事例も多数出ており、読みやすい。この本を取っ掛かりにしてもう少し
発想力を身につける努力をしなくてはと思わされた。

戦略「脳」を鍛える戦略「脳」を鍛える
御立 尚資

東洋経済新報社 2003-11-14
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