金融工学、こんなに面白い

タイトルからするとちょっと取っつき難い印象を受けたのでしばらく読んでいなかった。
全体的にはわかりやすかったものの随所に出てくる数式などの説明はもう少しわかりやすく
触れられていてもよいかと思った。この本を読んだだけでは面白いと思えるところまでは
少なくても到達できなかったような気がする。


株価を予測できるかという命題について、非効率的市場であれば可能であるが、現代の
効率的市場の場合はほぼ不可能であるという結論に達している。継続的に儲けることが
できない以上、インデックス・ファンドが有望であるとしている。

もっとも、効率的市場仮説に対しては、現在なお異論が多い。これは、社会科学の諸問題の中で、最も多くの
研究が行われた命題の1つであろう。実際、「いかに情報を分析しても、確実な金儲けの機会を見つけることは
できない」という命題は、自己否定的な匂いを漂わせているようにも思える。もしすべての人がこの命題を
信じ、情報分析の努力を放棄して市場の大勢に身を任せ、インデックス投資しかしないとすれば、どこかに
すばらしい金儲けの機会が生じたとしても、見逃されてしまうだろう。


さて、金融工学を勉強することによって金持ちになれるのだろうか。

金融工学のエキスパートになれば、有名にはなれるだろう。しかし、金儲けはえきないのだ。
金融工学の基礎的な方法論を学ぶことによって、無駄な損失を回避することができる。合理的な
投資というのは、そのようなものである。

金融工学、こんなに面白い (文春新書)金融工学、こんなに面白い (文春新書)
野口 悠紀雄

文藝春秋 2000-09
売り上げランキング : 51375

Amazonで詳しく見る
by G-Tools