青いバラ
「絶対音感」、「あのころの未来 星新一の預言」に続いて遅ればせながらこの本を読み終えた。少しずつ
読んでいたら途中からなかなか進まなくなってきたのでかなり長い時間をかけて読んでいたような気がする。
当初は青いバラには不可能という意味がある程度しか知らなかったのだが、それが現代の遺伝子操作により
実現するのであろうという感覚で読み始めた。
ところが話は青いバラだけにとどまらず、バラそのものにシフトしていき、その歴史からバラへ情熱をかけた
人たちの話なんかが次々と出てきてもう青いバラなんてどうでもよくなってくる。私自身も自然と終盤に
書かれていたような気持ちになっていった。その一方でバラに興味を持てるようになったので近いうちに
京成バラ園に行ってみたいと思う。
だが、では逆に、私は青いバラに特別な想いがあるのだろうか。花を人より大切に育てた覚えもなく、花の名前もほとんど知らない。ただ、バラとはこれほど多様な物語を背負った花である。将来、青いバラが最初の蕾をふくらませ、何百年もの夢が実現するその瞬間までの時間を、人々はどんな想いで待つのだろうかと気になっただけではなかっただろうか。
文庫本が出た2004年4月の時点では青いバラはできていなかった。しかし、その年の6月に長年研究を続けていた
サントリーとフロリジン社は、世界で初めてバイオテクノロジーを用いた青いバラの開発に成功した。
2007年以降に商品化されるようなので来年くらいには発売されるようになるのだろうか。
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