作家の誕生
太宰治の写真はどこかしら芥川龍之介の写真に似ていると思ったことはないだろうか。
顎に手をあてている写真は芥川龍之介を意識してポーズをとる高校時代の太宰であった。
文学に対しての思い入れよりも作家になりたい、同じような文章を書きたいという意識の方が
実際には強かったことに驚かされた。
私自身は日本文学史についてそれほど知っているわけではない。それでも主要な作家とその著書について
ある程度把握できているのは、高校時代の現代国語のテストで毎回10点の配点があったからであろう。
作品については全く読んだことがないというわけではないもののそれはあくまで文学であり、
作家の全てではない。猪瀬直樹の評伝を読むと作家の人となりや当時の雰囲気や本当によく伝わってくる。
ペルソナはまだしも、マガジン青春譜は買ってしまったもののタイトルからはあまり面白くないかもと
まで思っていた。ところが全くそんなことはなく、川端康成と大宅壮一とそれを取り巻く人間模様に引き込まれた。
「ペルソナ 三島由紀夫伝」、「マガジン青春譜 川端康成と大宅壮一」、「ピカレスク 太宰治伝」の3作を
作家評伝三部作としているが、これらと重複する記述がある。どれも読んだことはない人はまずはこの本から、
3冊のうちのどれかを既読であれば、全て読んでから読んだほうが良いかと思う。ピカレスクは積読になって
しまっていたので早く読まなくては。先走って太宰治のことを少しだけ知ってしまった。
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