ハッカーと画家

 借りて読んだ。どんな本なんだろうと興味はあったが、読んでみると意外に
読みやすく著者であるポール・グレアム氏の言いたいことが語りかけられるように
しっかりと伝わってくる本であった。ベンチャー企業成長の秘密やマイクロソフト
インターネットを支配するかというテーマもよかったのだけど全体を通して語られる
ハッカーの考え方や意識についての考察が面白かった。

「どうしてオタクはもてないか」という第1章において著者が子供のときから感じていた
学校における人気者とそれ以外の者の違いについて述べている。

賢いこととオタクであることの間にはきわめて強い相関があり、オタクであることと人気者であることの間にはもっと強い負の相関があるというものだ。

人気者になるよりも、より賢くありたいと思うかららしい。

それでも頭の良さは他のもの、外見とか魅力とか運動能力に比べたら、ずっと軽視されていた。

これは日本でも同じで頭が良いだけの人よりも、外見や運動能力が高い方が人気者に
なることがほとんどだし、実際にもそうであろう。文武両道で外見も優れていないと
今の時代、人気者になるのは難しいのかもしれない。

「スパムへの対策」ではフィルタリング技術を説明しているが、あまり専門用語が
多用されていないので誰でも読みやすいと思う。それほど不特定多数の人とメールの
やりとりをするわけでもないと思うので、フィルタリングの負荷も考えると
ホワイトリストがやはり有効なようだ。どちらにせよいたちごっこになることは
変わらず、業者があきらめるまでは続くのだろう。

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たちハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち
ポール グレアム Paul Graham 川合 史朗

オーム社 2005-01