猪瀬直樹 道路の権力

 道路公団の民営化実現に向けて奮闘していた猪瀬氏であるが、当時はテレビで
その活躍を見て官僚に負けずに頑張って欲しいと思った程度で具体的な攻防などは
知らずにいた。本書を読んで遅れ馳せながらその一端を再確認することができた
ことも非常に嬉しい。「日本国の研究」「続・日本国の研究」も良かったのであるが、
今回は道路公団民営化委員会の一員として活動した1000日間のドキュメントと
いうことでリアルなやりとりが正確な記録として書かれている。

政府の批判や批評をするのは簡単であるが、こうして実際に参画して改革することは
想像している以上に難しいことであると思う。恐らく氏もある程度は予測していながら
それ以上に手こずったのではないだろうか。新作「道路の決着」も早めに読みたい。

道路の権力道路の権力
猪瀬 直樹

文藝春秋 2006-03-10